
賃貸の初期費用ってどれくらいかかるの?

初期費用をできるだけ抑えて引越しがしたい!
引越しを検討されている方の中にはこのように考える方も多いのではないでしょうか。
本記事では不動産屋の目線から、賃貸契約にかかる初期費用の内訳とその節約方法についてご紹介いたします。
- 賃貸の初期費用に何が含まれるのか分からない人
- できるだけ初期費用を抑えたい人
初期費用の内訳と節約方法

以前の記事では、賃貸契約にかかる初期費用として下記項目をご紹介しました。
- 敷金
- 礼金
- 前家賃
- 仲介手数料
- 保証会社委託料
- 火災保険料
- 鍵交換費用
本記事では、各項目の解説と安く抑える方法をご紹介します。
敷金
敷金とは、賃貸契約時に借主が貸主に預け入れるお金のことで、解約時に借主に返還されます。
多くの物件では契約時に敷金を家賃の1ヶ月分預け入れますが、注意したいのは預け入れた敷金が解約時に満額返ってくるわけではないということです。
賃貸契約には「借主は退去時に◯円のクリーニング料を支払う」という特約が設定される事がほとんどです。
そのため、床や設備に傷や汚れがなくても契約上の義務として退去時にクリーニング料の支払いが必要となります。
さらに、借主の故意・過失で床や壁に傷をつけてしまったり、設備を壊してしまった場合にはその修繕費用も退去時に請求されます。
通常はこのようなクリーニング費用や修繕費が敷金と相殺されて返還される仕組みになっています。
下表はその一例です。
預け入れた敷金 | 100,000円 |
クリーニング費 | ▲35,000円 |
床の傷の修繕費 | ▲20,000円 |
退去時に返ってくる敷金 | 45,000円 |
敷金は最終的に自分の手元に返ってくるお金のため、支払って損ということはありません
そのため、「とにかく初期費用を減らして手元に現金を残しておきたい」という方は敷金0ヶ月の物件に絞って探すのもいいでしょう。
ただし、解約時のクリーニング料などは手出しで支払う必要が出てきますのでご注意ください。
礼金
礼金は契約時に借主が貸主に対して謝礼の意味で支払うお金で、敷金と異なり借主の元に返ってくることはありません。
敷金と同様家賃の1ヶ月分が礼金として設定されていたり、中には2ヶ月設定されている物件もあります。

最近では礼金0ヶ月の物件も増えています。
礼金は1円も返ってこないので、できるだけ払わないように!
本来であれば毎月家賃を支払う借主側が感謝されるべきだと思いませんか?
礼金を支払ってしまうのは正直もったいないので、下記項目の実践を推奨します。
- 礼金0ヶ月の物件に絞って探す
- お気に入り物件に礼金が設定されていたら交渉を入れる
- 礼金を払う代わりにフリーレントをつけてもらえないか交渉する
礼金0ヶ月の物件に絞って探す
ここ数年は首都圏への流入人口数を上回るペースで賃貸住宅の供給が増えています。
そのため貸主同士の競争原理が働き、礼金0ヶ月の物件も多く募集に出ています。
よっぽどお気に入りの物件がある場合を除き、初めから礼金0ヶ月に絞って探すことをおすすめします。
貸主に交渉を入れる
お気に入りの物件に礼金が設定されていても、諦めずに交渉を入れてみましょう。
私も普段から礼金カットの交渉を受けることがありますが、意外と交渉に応じることが多いです。
特に以下のような状況では空室を早く埋めたいため、交渉が通る確率が高いと思います。
- 借り手が見つからず、長い間募集に出ている物件
- 賃貸の閑散期(6〜8月・11〜12月)
上記に当てはまる場合は仲介会社を通して積極的に交渉を入れてみましょう。
礼金を払う代わりにフリーレントをつけてもらえないか交渉する
礼金カットの交渉が断られた場合、フリーレントをつけてもらえないか交渉してみましょう。
実は礼金カットの交渉と比べ、賃料発生を先延ばしにするフリーレントの方が貸主に受け入れられる可能性が高いです。
借りる側としては家賃が1ヶ月無料になるので、礼金カットと同じ効果を得られます。
前家賃
通常は以下2つを合わせた金額を前家賃として契約時に一括で支払います。
- 契約開始日の属する月の末日までの日割賃料
- 契約開始月の翌月1ヶ月分の賃料
例えば4月16日に賃料10万円の部屋を契約する場合、前家賃は以下のようになります。
4/16〜4/30 | 50,000円 |
5月分 | 100,000円 |
前家賃 | 150,000円 |
月初契約開始の場合は2ヶ月分近くの家賃をまとめて支払う事になりますが、その他の初期費用や引越し費用なども合わせると大きな出費になってしまいますよね。
貸主によっては初月日割分の支払いだけにしてくれたり、初期費用一式を分割払いにしてくれるケースもあります。
お財布が厳しい場合は仲介会社を通して相談してみましょう。
仲介手数料
物件の案内や貸主との契約条件の交渉、重要事項説明や契約書の締結手続きなど、借主が賃貸に住むためのサポートをした対価として支払うのが仲介手数料です。
仲介手数料の金額は不動産会社が好きに決められるわけではなく、法律で家賃の1ヶ月分までと定められています。
多くの仲介業者は手数料を1ヶ月取るのですが、仲介業者も世に数多存在するため競争原理が働きます。
最近では手数料を0.5ヶ月分しか取らない業者や、中には手数料無料の業者まで出てきています。
少しでも初期費用を安くするために、是非こうした業者への問い合わせも検討してみてください。
保証会社委託料
借主が何らかの事情で家賃を支払えなくなると貸主は困りますよね。
そうしたリスクのヘッジとして賃貸では連帯保証人の設定や、保証会社の利用が契約の必須条件となる事がほとんどです。
連帯保証人とは
賃貸契約における連帯保証人とは、何らかの事情で借主が家賃を払えなくなった場合に、貸主が借主の代わりに家賃を請求する者をいいます。
多くの人は両親や兄弟などの家族を連帯保証人として契約を結ぶことが多いです。
しかしながら高齢者や家族と疎遠の人など、連帯保証人になってくれる知り合いがいないといったケースもあります。
このような時に連帯保証人の役割を果たしてくれるのが次に解説する保証会社です。
保証会社とは?
保証会社とはCasaや日本セーフティーといった、家賃の補償を事業として行う会社です。
保証会社が入る場合は家賃が未納となった場合、借主の代わりに保証会社が家賃の支払いを行います。
その後、保証会社から借主に未納分を請求するといった仕組みです。
連帯保証人を立てる場合は保証人自体の資料がないと家賃を取りっぱぐれてしまいますが、保証会社が入る場合は貸主にとって未収のリスクがありません。
そのため最近では保証会社の利用を必須とする貸主が増えています。
保証会社を利用する場合、借主は賃貸契約時に保証委託料を保証会社に支払う必要があります。
相場は家賃の0.5ヶ月分で、契約後も数年に一度の頻度で更新料を請求されることもあります。
保証会社利用が必須の物件で委託料を支払わないのは難しいですが、連帯保証人を選択できる場合は委託料の節約が可能ですので、仲介会社を通して確認してみましょう。
ただし、連帯保証人利用の際に敷金を追加で1ヶ月預ける必要がある場合もありますので、契約条件はよく確認するようにしてください。
火災保険料
ほとんどの賃貸物件では契約時に火災保険の加入が必須となっています。
「賃貸で火災保険?」と思うかもしれませんが、貸主が借主に火災保険への加入を契約の条件とする理由は以下の通りです。
- 失火責任法により、火災を起こしてしまっても当事者に重大な過失がなければ損害賠償責任を負わないと定められている
- ただし、借主には退去時に原状回復義務があり、万が一火災によって貸室を損壊させた場合は自身の負担で原状回復する義務がある
→借家人賠償責任保険でカバー - 隣人が火災を起こして自分の部屋の家財が損壊したとしても、失火責任法によって隣人に損害賠償請求をすることができない
→家財保険でカバー
一般的に、上記の借家人賠償責任保険と家財保険を組み合わせたものを火災保険と呼びます。
基本的に賃貸契約時の加入が必須であるほか、借主自身を保護するものですので火災保険に加入しない選択肢はないと考えてください。
鍵交換費用

防犯の観点から、賃貸契約締結後入居までの間に貸主側で鍵交換を行うのが一般的となっています。
前の入居者がスペアキーを作っていたり、内見に訪れた仲介業者や客が複製している可能性がゼロではないからです。

貸主の都合で鍵を交換するのに、なぜ借主が交換費用を払うの?
実はこの鍵交換ですが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると貸主が費用負担する事が妥当とされています。
しかしながら、これはあくまでガイドラインのため法的拘束力はありません。
そのため契約の特約などに「鍵交換費用は借主が負担する」旨が定められている場合は、貸主は借主に費用を請求しても良い事になっています。
鍵の種類によって交換費用も異なりますが、通常のシリンダーキーで1万〜2万円程度、防犯性能の高いディンプルキーで2万〜3万円程度が相場です。
特約に記載されている場合は借主が支払う必要があるため、契約締結前に契約書をよく確認するようにしましょう。
おわりに
本記事では、賃貸契約の初期費用としてかかる項目の詳細と安く抑える方法について解説しました。
無駄なお金を払うことのないよう、契約前に本記事の内容を思い出してもらえると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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